2018年03月01日
ひとりカブラの冬
みなさん、お久しぶりです。
ちょっと一段落したのでしばらくブログ放置をしていましたが、またちょっと再開です。
今回は2017年にルタガバをミュラー氏より大量に寄贈していただくといううれしいことがありましたので、家族がみんな出かけている日を狙ってこの食材だけでフルコース料理を作り、ドイツの第一世界大戦の飢餓の代名詞ともなった「カブラの冬」を一人で体験しようという企画です。
さて、まずこのルタバガですが、カブラとか西洋カブと呼ばれるあまり日本ではなじみのない野菜です。
当時栽培されていたものは日本で手に入るものより大型の物だったようですが、日本でも種が手に入ります。
楽天あたりを丹念に探しているとたまに食用として栽培されたものが販売もしています。
※これで三分の一くらいです
今回は自宅の畑で百姓さんリエナクメントしたミュラー様のご協力で一食では食べきれない量をいただきました。
贅沢に?飢餓代用食を体験するひとりカブラの冬のスタートです!
〇ルタバガのClapshot、揚げルタバガ添え
伝統的なスコットランド料理で肉料理の付け合わせとしてよく食べられている。
ハギスという羊のモツ料理の付け合わせが有名ということだ。
この料理はわかりやすく言うと「ルタバガとジャガイモのマッシュ」だ。
作り方も簡単でゆでたジャガイモとルタバガをマッシュするだけだ。
今回は水っぽくなってしまうのを防ぐため、ジャガイモもルタバガもゆでずに蒸した。
蒸し上がったジャガイモとルタバガにバターを混ぜながらつぶして、塩とあらびき胡椒を味を見ながらふって最後にパセリを散らして出来上がり(バターはぜいたくという意見もありますが、まぁ今回はこんな感じでゆるゆるです)。
本当は肉料理の付け合わせだが、肉がないのでクラップショットがメインで薄力粉を振って油で揚げたフライドルタバガが付け合わせ。
味はマッシュポテトにルタバガの甘みと繊維質が加わってすごい美味く、ジャガイモとの相性はかなり高い。
フライドルタバガもホクホクでおいしい。幸先のいいスタートだ!
〇ルタバガのパンケーキ
パンケーキというと小麦粉の印象が強いが海外ではジャガイモのパンケーキはものすごいメジャーな料理で世界中にある。
調べてみるとルタバガのパンケーキもあるのでさっそく作ってみました。
スライサーで千切りにしたルタバガに塩、コショウをふり、みじん切りした玉ねぎをまぜ、少量の薄力粉と卵をつなぎにしてフライパンで焼く。これは非常に簡単で」うれしい。
油は少し多めに引いて表面をカリッとさせるのがポイントだ。
ジャガイモと混ぜたり、ズッキーニなどを混ぜてもいい。今回はジャガイモはあり、なしの2種類を作ってみた。
サワークリームやシナモンをきかせたアップルジャムをかけるらしいが、ルタバガの甘みが出ていてそのままで十分だった。結構トウがたったものを使ったので心配だったがホクホクで美味かった。
参考に普通のカブを使用してみたが、水分が多いのでかなりねっとりとした食感でこれは別物だ。
ルタバガを焼いた時の食感はジャガイモとかカボチャみたいなものだ。
このパンケーキ、ジャガイモ入りだとさらにモチモチ感が増してよりおいしい。
ジャガイモだけのパンケーキより味もよく、ルタバガを手に入れたらぜひチャレンジしてほしい料理だ。
〇ルタバガのスープ
続いてルタバガのスープだ。肉と豆あたりで煮てやればちょっとしたごちそうだが肉は使わないのでこれだけでは物足りない。
満足感を得るためにタラの干物など入れてみたら鱈の味がルタバガと全然合わないので却下。
※当時干し鱈は食べられており、不足した豚肉に混ぜて量を増やそうなんて記事が当時の新聞に載っていた。完全に保存優先の食べ物でうまいものではなかった。
トマトとマカロニを入れてみる。これは非常に合うし満足感も高い。やっぱり小麦は偉大だな。
ブイヨンと塩味だけだと単調なのでもう一工夫。
上の写真はシンプルにブイヨンとパブリカパウダーと塩で味を調整した。具はルタバガにミニトマト、玉ねぎ、マッシュルームを入れて仕上げたものだ。
ドイツ(ハンガリー)のシチュー「グヤーシュ」はパブリカがたっぷり入っているのでこいつはアリなアイテムだしパブリカパウダーを入れれば満足感も非常に高くなって肉無しでもおいしいし、ジャガイモ、レンズ豆を入れてもよい。
ただしルタバガはもう脇役の存在感すらなくなっており、ルタバガのスープ?という感じになってしまった。
煮込んだらどんどん溶けて行っちゃうからなぁ。
〇ルタバガのピクルス、ルタバガパン
カブが漬物になるならルタバガもピクルスになるだろう。酢漬けは当時、ルタバガを促進するために作られたパンフレットにも載っているのだ。
カブよりも身が詰まっているのでしっかりした歯ごたえっつーか固い。繊維質が残るしもっと皮を厚くむいておけばよかった。
工夫次第で行けそうだけど、特筆するうまさでもないなぁ。
パンのほうは小説版の「西部戦線異状なし」で後方からきた兵士が朝から蕪のパンを食べさせられて昼も株の煮物で夜が株のカツレツだよと話すエピソードをヒントにした。
基本レシピはクッキングナチで作っているレシピで小麦粉の代わりに生のカブラをドバーッと入れる。
出来上がったパンはかなり酸味のあるにおいと味がする。ルタバガは生だと何とも言えない酸っぱいにおいがするし、パン生地の中に入っているから甘くなるほど加熱はされないようだ。大失敗である。
もしかしたら刻んで入れたり、一度過熱して甘味を出してみたらうまいものになったかもしれなかっただけに残念だ。
ちょっと手段が安直すぎた。もしまた機会があったら過熱してからやろう。たぶんそっちのほうがうまい。
でも、当時わざわざ加熱させたものを改めてパンに入れるような調理パンのような手法がとられていたかというとその辺も微妙だ。
生の物をもう少し細かく入れるくらいが正解かもしれない。でもそれはあまり美味しくないと思う。
〇ルタバガカツレツ、サラダ、焼きルタバガ
更にルタバガのカツレツにチャレンジ。カツレツとはいってもルタバガのコロッケだよなこれ。
ゆでたルタバガとジャガイモをマッシュして炒めた玉ねぎと混ぜる。
小麦粉に卵をつけてパン粉で揚げればコロッケというかカツレツの出来上がりだ。基本はジャガイモコロッケだがさっき作ったマッシュルタバガみたいな甘い味がしてなかなか美味い。
サラダのほうは賽の目に切ったルタバガをゆでて生野菜とあえる。甘みのある味はそこそこ合うけどルタバガ独特のにおいは生野菜にはそんなに合わないというか....ごめん、ぼちぼちルタバガきつくなってきました(笑)。
このいい加減ルタバガ飽きましたってのがまさにひとりカブラノ冬の醍醐味です。あああああああああああ、お肉食べたいという当時のドイツ市民の気持ちがすごくわかってきました。
そのつらい気持ちを胸に焼きルタバガとルタバガのホイル焼き。オーブンで作ってみましょう。
ホイル焼きはマッシュルームと玉ねぎと一緒に包んで焼く。
焼きあがったルタバガはジャガイモとサツマイモの中間みたいな食感。繊維感はあるんだけどサツマイモほどホクホクはしていない。
もう少し甘みを引っ張り出せるかと思ったけどちょっと味が足りないな。醤油をさらっとかけたい気分だけどといつにはないので塩胡椒でいただきます。
焼きルタバガはホクホク系。ホイル焼きはしっとり系の食感。
味のほうは………うーんと正直ジャガイモのほうがうまいかな?って感じだ。やっぱりルタバガのにおいが少し鼻につく。これならルタバガフライをたくさん作ったほうが美味しく食べられたかもしれないなぁ。ちょっと失敗。
〇総括!
おそらく当時の物よりもかなり改良されていると思われるので「豚のえさにしかならない」という雰囲気の野菜ではありませんでした。
食感的な感じはちょっと遷移し日のあるジャガイモかニンジン、でも煮るとカブみたいなちょいと独特な感じです。
油でいためたりあげたりとしっかりと加熱すると独特の甘みが出ます。
蒸かすのもかなりおいしくできました。
一番うまかったのはクラップショットとパンケーキかな。
当時とはいろいろと条件が変わるため、これをそのまま当てはめるわけにはいきませんが文献では「豚のえさ」とされていることも多いルタバガさんも楽しく調理することができます。
町の八百屋に並ぶことはほぼないと思いますが、何かで手に入ったらぜひ調理をしてみたくださいませー。
ちょっと一段落したのでしばらくブログ放置をしていましたが、またちょっと再開です。
今回は2017年にルタガバをミュラー氏より大量に寄贈していただくといううれしいことがありましたので、家族がみんな出かけている日を狙ってこの食材だけでフルコース料理を作り、ドイツの第一世界大戦の飢餓の代名詞ともなった「カブラの冬」を一人で体験しようという企画です。
さて、まずこのルタバガですが、カブラとか西洋カブと呼ばれるあまり日本ではなじみのない野菜です。
当時栽培されていたものは日本で手に入るものより大型の物だったようですが、日本でも種が手に入ります。
楽天あたりを丹念に探しているとたまに食用として栽培されたものが販売もしています。
※これで三分の一くらいです
今回は自宅の畑で百姓さんリエナクメントしたミュラー様のご協力で一食では食べきれない量をいただきました。
贅沢に?飢餓代用食を体験するひとりカブラの冬のスタートです!
〇ルタバガのClapshot、揚げルタバガ添え
伝統的なスコットランド料理で肉料理の付け合わせとしてよく食べられている。
ハギスという羊のモツ料理の付け合わせが有名ということだ。
この料理はわかりやすく言うと「ルタバガとジャガイモのマッシュ」だ。
作り方も簡単でゆでたジャガイモとルタバガをマッシュするだけだ。
今回は水っぽくなってしまうのを防ぐため、ジャガイモもルタバガもゆでずに蒸した。
蒸し上がったジャガイモとルタバガにバターを混ぜながらつぶして、塩とあらびき胡椒を味を見ながらふって最後にパセリを散らして出来上がり(バターはぜいたくという意見もありますが、まぁ今回はこんな感じでゆるゆるです)。
本当は肉料理の付け合わせだが、肉がないのでクラップショットがメインで薄力粉を振って油で揚げたフライドルタバガが付け合わせ。
味はマッシュポテトにルタバガの甘みと繊維質が加わってすごい美味く、ジャガイモとの相性はかなり高い。
フライドルタバガもホクホクでおいしい。幸先のいいスタートだ!
〇ルタバガのパンケーキ
パンケーキというと小麦粉の印象が強いが海外ではジャガイモのパンケーキはものすごいメジャーな料理で世界中にある。
調べてみるとルタバガのパンケーキもあるのでさっそく作ってみました。
スライサーで千切りにしたルタバガに塩、コショウをふり、みじん切りした玉ねぎをまぜ、少量の薄力粉と卵をつなぎにしてフライパンで焼く。これは非常に簡単で」うれしい。
油は少し多めに引いて表面をカリッとさせるのがポイントだ。
ジャガイモと混ぜたり、ズッキーニなどを混ぜてもいい。今回はジャガイモはあり、なしの2種類を作ってみた。
サワークリームやシナモンをきかせたアップルジャムをかけるらしいが、ルタバガの甘みが出ていてそのままで十分だった。結構トウがたったものを使ったので心配だったがホクホクで美味かった。
参考に普通のカブを使用してみたが、水分が多いのでかなりねっとりとした食感でこれは別物だ。
ルタバガを焼いた時の食感はジャガイモとかカボチャみたいなものだ。
このパンケーキ、ジャガイモ入りだとさらにモチモチ感が増してよりおいしい。
ジャガイモだけのパンケーキより味もよく、ルタバガを手に入れたらぜひチャレンジしてほしい料理だ。
〇ルタバガのスープ
続いてルタバガのスープだ。肉と豆あたりで煮てやればちょっとしたごちそうだが肉は使わないのでこれだけでは物足りない。
満足感を得るためにタラの干物など入れてみたら鱈の味がルタバガと全然合わないので却下。
※当時干し鱈は食べられており、不足した豚肉に混ぜて量を増やそうなんて記事が当時の新聞に載っていた。完全に保存優先の食べ物でうまいものではなかった。
トマトとマカロニを入れてみる。これは非常に合うし満足感も高い。やっぱり小麦は偉大だな。
ブイヨンと塩味だけだと単調なのでもう一工夫。
上の写真はシンプルにブイヨンとパブリカパウダーと塩で味を調整した。具はルタバガにミニトマト、玉ねぎ、マッシュルームを入れて仕上げたものだ。
ドイツ(ハンガリー)のシチュー「グヤーシュ」はパブリカがたっぷり入っているのでこいつはアリなアイテムだしパブリカパウダーを入れれば満足感も非常に高くなって肉無しでもおいしいし、ジャガイモ、レンズ豆を入れてもよい。
ただしルタバガはもう脇役の存在感すらなくなっており、ルタバガのスープ?という感じになってしまった。
煮込んだらどんどん溶けて行っちゃうからなぁ。
〇ルタバガのピクルス、ルタバガパン
カブが漬物になるならルタバガもピクルスになるだろう。酢漬けは当時、ルタバガを促進するために作られたパンフレットにも載っているのだ。
カブよりも身が詰まっているのでしっかりした歯ごたえっつーか固い。繊維質が残るしもっと皮を厚くむいておけばよかった。
工夫次第で行けそうだけど、特筆するうまさでもないなぁ。
パンのほうは小説版の「西部戦線異状なし」で後方からきた兵士が朝から蕪のパンを食べさせられて昼も株の煮物で夜が株のカツレツだよと話すエピソードをヒントにした。
基本レシピはクッキングナチで作っているレシピで小麦粉の代わりに生のカブラをドバーッと入れる。
出来上がったパンはかなり酸味のあるにおいと味がする。ルタバガは生だと何とも言えない酸っぱいにおいがするし、パン生地の中に入っているから甘くなるほど加熱はされないようだ。大失敗である。
もしかしたら刻んで入れたり、一度過熱して甘味を出してみたらうまいものになったかもしれなかっただけに残念だ。
ちょっと手段が安直すぎた。もしまた機会があったら過熱してからやろう。たぶんそっちのほうがうまい。
でも、当時わざわざ加熱させたものを改めてパンに入れるような調理パンのような手法がとられていたかというとその辺も微妙だ。
生の物をもう少し細かく入れるくらいが正解かもしれない。でもそれはあまり美味しくないと思う。
〇ルタバガカツレツ、サラダ、焼きルタバガ
更にルタバガのカツレツにチャレンジ。カツレツとはいってもルタバガのコロッケだよなこれ。
ゆでたルタバガとジャガイモをマッシュして炒めた玉ねぎと混ぜる。
小麦粉に卵をつけてパン粉で揚げればコロッケというかカツレツの出来上がりだ。基本はジャガイモコロッケだがさっき作ったマッシュルタバガみたいな甘い味がしてなかなか美味い。
サラダのほうは賽の目に切ったルタバガをゆでて生野菜とあえる。甘みのある味はそこそこ合うけどルタバガ独特のにおいは生野菜にはそんなに合わないというか....ごめん、ぼちぼちルタバガきつくなってきました(笑)。
このいい加減ルタバガ飽きましたってのがまさにひとりカブラノ冬の醍醐味です。あああああああああああ、お肉食べたいという当時のドイツ市民の気持ちがすごくわかってきました。
そのつらい気持ちを胸に焼きルタバガとルタバガのホイル焼き。オーブンで作ってみましょう。
ホイル焼きはマッシュルームと玉ねぎと一緒に包んで焼く。
焼きあがったルタバガはジャガイモとサツマイモの中間みたいな食感。繊維感はあるんだけどサツマイモほどホクホクはしていない。
もう少し甘みを引っ張り出せるかと思ったけどちょっと味が足りないな。醤油をさらっとかけたい気分だけどといつにはないので塩胡椒でいただきます。
焼きルタバガはホクホク系。ホイル焼きはしっとり系の食感。
味のほうは………うーんと正直ジャガイモのほうがうまいかな?って感じだ。やっぱりルタバガのにおいが少し鼻につく。これならルタバガフライをたくさん作ったほうが美味しく食べられたかもしれないなぁ。ちょっと失敗。
〇総括!
おそらく当時の物よりもかなり改良されていると思われるので「豚のえさにしかならない」という雰囲気の野菜ではありませんでした。
食感的な感じはちょっと遷移し日のあるジャガイモかニンジン、でも煮るとカブみたいなちょいと独特な感じです。
油でいためたりあげたりとしっかりと加熱すると独特の甘みが出ます。
蒸かすのもかなりおいしくできました。
一番うまかったのはクラップショットとパンケーキかな。
当時とはいろいろと条件が変わるため、これをそのまま当てはめるわけにはいきませんが文献では「豚のえさ」とされていることも多いルタバガさんも楽しく調理することができます。
町の八百屋に並ぶことはほぼないと思いますが、何かで手に入ったらぜひ調理をしてみたくださいませー。