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Posted by ミリタリーブログ  at 

2017年08月11日

ライ麦パン作成方法2017年度版


 こちらは「みりさば編集部式」のライ麦パンの作成方法の解説です。
 まずはこのレシピの簡単な説明から。

 こちらは戦時中のドイツ軍の主食の一つとして非常に有名な「コミスブロート」っぽいものを家庭で割合簡単に再現するために作ったものです。
 本当のコミスブロートは一斤が1.5Kgのパンを指します。
 ただ、家庭用のオーブンでこのサイズのパンを焼くにはハードルが高く、この量のパンを食べるのもかなり大変なので、みりさば編集部ではこの半分のサイズのパンを焼くことを推奨しています。
 なぜ半分なのかというと、ドイツ兵が一日に食べるパンの量がおおむね750gといわれており、配給も一日単位で配給されていたため、このサイズでも一日のパンを実感できるからです。


 また、パン種(サワードウ)に関してはかなり独特なレシピを使用しています。
 ライ麦パンは発酵したサワードウを使用しないと膨らませるのに苦労します。また、ライ麦パンの独特の風味はこのパン種から来ているところがあります。
 本来の作り方では、ライ麦に水を入れてかき混ぜ、空気中の酵母で発酵させたパン種を使用します。
 しかし、水を入れてかき混ぜてほっておくだけなので簡単といえば簡単なのですが
 この方法は時間がかかる上に味や膨らみ方の個体差があるため、ハードルが高いです。

 そのため、半日程度でも簡単にできるようにイースト菌を使用する方法を採用しています。
 そのままでは風味が足りないので、ウルマフォルサワーという乾燥サワー種を使用し、リンゴジュースで味を調整しています。
 これは、スターターを使用するときにリンゴ等を使用することもあるということから使用していますが、短時間で作る割には適度な酸味を持てるようになっています。

 当編集部の方法は家庭のオーブンで「コミスブロートっぽいライ麦パン」を焼く方法なのですが、かなりの成功率でライ麦率80%以上のパンを焼くことができますので是非挑戦してみてください。
 

●用意するもの
 イースト菌(スーパーなどでうってる3gパックのドライイーストが便利)
 ウルマフォルサワー
 ライ麦粉(粗挽きがお勧め)
 小麦粉
 塩
 100%リンゴジュース
 ラード

 プレーンヨーグルト(無くても可)
 グリーンレーズン(無くても可)

 ウルマフォルサワーはサワードゥを使用しないときにパンに酸味と風味を持たせる「乾燥サワードゥ」ともいえるもので、これを入れることでサワードゥを使った時のような風味を得ることができます。
※以前にライ麦を発酵させるための菌と書きましたが、フォルサワーには発酵能力はありません。訂正いたします。
 プレーンヨーグルト、グリーンレーズンは発酵促進と酸味を増すために入れるものですが、ウルマフォルサワーとリンゴジュースがあればおおむね風味を出すことができ、ドライイーストで発酵は問題なくできますのでこの2点はお好みで使用してみてください。


●作成方法

・リンゴジュースを350g、ウルマフォルサワーを40g、ライ麦粉を60g、塩5gをボールに入れてよくかき混ぜる
※この時にお好みでヨーグルト(大匙1くらい)とレーズン(20g程度)を入れる

・ボールにラップをかけて常温で最低一晩程度、可能であれば一日と一晩程度放置する。金曜日夜に仕込んで最短コースで土曜日、最長コースで日曜日に焼くようなイメージです。
 ラップをしっかりかけないと虫等が入る可能性がありますので注意してください。
 発酵時にガスがかなり出ます。ビン等の完全密閉できる容器で作成すると容器が割れたりするので必ずラップを使用して下さい。

・通常、夏季は2時間程度、冬季でも3時間程度で発酵が始まります。
 冬季はリンゴジュースを30度程度に温めておくと発酵が始まりやすくなります

・このように一度泡がでてから落ち着いたようになっていれば簡単サワードゥの完成です。
 長時間寝かせたほうが酸味が強くなる傾向にあります。


・レーズンを入れている場合はここで取りだします。つぶしてエキスだけはボールに戻します。


・ライ麦320g、強力粉35gをいれて。捏ね台にうつしてよく練っていきます。
※すべてライ麦にすればライ麦100%、小麦を片栗粉などにすればKパンを作ることもできます。


・台に擦り付けるようにこねたらカードでかき集めてまた丸くして練りこみます
※水分が多くてベタつきがとれないときはパン台にライ麦を振りまくように足して調整してください。
※生地が硬く、パサパサするようであれば、手に水を付けてそれでこねて調整してください。
 直接水を入れたりすると一気にべたつくので注意してください。
※水分が少なすぎると硬くなります。水分が多すぎると中が生焼けになります。

・粘りが出てきたらパン台に軽く叩きつけて粘りを出します。
 ただし、強力粉より粘りがないのであまり強くたたきつけると飛び散るので注意してください。


・なんとなくまとまってきたら丸くまとめて2次醗酵させます。
 オーブンの醗酵モードがあると便利です発酵時間は35度で40分。


・生地の質感が変わり1~2割程度大きくなれば二次発酵成功です。

・いよいよパン型に入れていきます。
・オーブンはここから余熱を開始しておくとタイミングがあっていいでしょう。
・余熱温度は210度。180度程度でも焼けますので200度以上のないオーブンでも可能です。


・パン型の内側にラードをかなりしっかり塗ります。


・ヘラで形を整えます。
 こんなかんじでちょっと山形に仕上げてあげるときれいにできます。


※今回は雑貨の製菓コーナーでよくあるパウンドケーキ型を使用していますが、パン型などがあればよりいいでしょう。
 また、パン型を飯盒で代用することも可能です。


上面にライ麦をふりかけてお化粧をしたら準備完了。

10分程度待つと生地がさらに発酵して若干膨らんで丸みを帯びてきます。
いいかんじになったころにオーブンの予熱が終わりますので210度で30分程度焼いてください。
180度くらいなら40分程度。この辺はオーブンや水分量によって変わります。


はじめのうちは串を刺して生地が生焼けになってないかをチェックしてみてもいいでしょう。
オーブンにはそれぞれ癖があります。中が生焼けになるようであれば焼き時間を10分程度長くしてみてください。
それでも改善されないようであれば水分量を少し減らしてみてください。


そのまま常温でおいて冷まします。
下にすのこのようなものを引いて通気の良い環境を作ってください。

出来立てよりも半日以上まってからが食べごろです。日によって味が変わるのもまた味わい深いですね。


いかがでしょうか?うまく出来ましたか?
さぁ、ドイツ軍気分でライ麦を味わってみましょう。
  


Posted by さめ ひろし  at 00:00Comments(0)パン作り

2016年10月29日

おがくずパンを作ってみました


さて、今回は夏コミの新刊でもとりあげました「おがくず入りライ麦パン」の話です。

やや濃いめのドイツ軍をかじった人なら「おがくずの入ったパンの話」は聞いたことがあるかもしれません。
「大戦末期、もしくは捕虜収容所などで木くず(おがくず)の入ったパンが食べられていた」という話ですね。

様々なレシピにチャレンジしてきたクッキングナチですが、このレシピはさすがに考えちゃいました。
だって木くずって食べモノじゃないんだもん(笑)。


ずっと考えていたのが「ふすま(小麦の表皮部分)などのパンの誤訳では?」ということでした。
誤訳がトンデモ話になるってのはよくあることで、有名なのは「シンデレラのガラスの靴」なんてのがあります。
このシンデレラ、ヨーロッパの民話をベースにして作られた話なんですが、ベースとなる話を聞いた時に「リス皮の靴(vair)」を同じ発音の「ガラス(verre)」と間違えたというものです。
※ペロー誤訳説が有名ですがもともとガラス版とリス皮版の2種があるという説もありますな。

また、第二次世界大戦ではゴボウを出した日本人に対してアメリカ人が木の根だと思い込み、戦後の戦犯にさせられてしまったなんて話もあります。

しかし、いろいろと調べてみると食事に木が使われているという話がいくつか出てきます。
第一次世界大戦ではあまりの食料難で木くずでクッキーができないか?と真剣に検討されたりしたし、旧いヨーロッパの山奥ではやはり手短にある木くずでパンを増量していたという話もあるようです。


日本でも、籠城時に城の土壁を崩して食べたなんて話も出てきますし、もしかしたら通常にはなくても、異常事態の食料としておがくずの混入したパンというのはあったのかもしれません。

スターリングラードのドイツ第6軍はソ連軍に包囲され、食料不足から最後は木くずで増量されたパンが出てきたとか椅子を削ってパンに入れたなんて記録もあります。

その辺を考慮して、今回はこの「おがくず入りパン」という食べ物がありなのかを実証試験をしてみましょう。

今回はさすがにレシピというのは見つからない。そりゃそうだ、こんな非常時のレシピが残っているのは難しいだろう。
でも、ググったらこんなレシピが見つかった。1841年のドイツの捕虜収容所のパンのレシピだ。
http://www.theoldfoodie.com/2011/03/sawdust-bread.html

(原語)
There is a recipe for bread containing ‘tree flour’ for the use in prisoner of war camps, which is said to have been published in Germany in 1841. It sounds grim.

Black Bread.
50% bruised rye grains.
20% sliced sugar beets.
20% tree flour (saw dust).
10% minced leaves and straw.

(機械翻訳版)
それは厳しい聞こえる1841年にドイツで出版されていると言われている戦争キャンプの囚人で使用するための「木粉」を含むパンのレシピがあります。

黒パン。
50%打撲ライ麦粒。
20%スライスしたテンサイ。
20%の木粉(おが屑)。
10%ミンチ葉や藁。

これをみるとパンの材料は50%しかありません。政治の世の中なら政権とれないレベルです。
テンサイはカブラの冬でおなじみのカブラ(西洋蕪)でしょうか?
葉と藁が同じレベルで入ってるのも強烈ですね。

さすがにこれは厳しすぎますが(経験上、葉や甜菜のような水分の含んでいるものはかなり難しい)、2割くらいのおがくずを入れたレシピがあるということがわかりました。
Kパンやライ麦パンを作ったきた自分の経験で考えると、ライ麦パンは2割くらいは別の粉を入れてもいけそうな気がします。

2割くらいを目標におがくずをぶっこんでパンを焼いてみましょう。

おがくずは今回知り合いの林業をやってる友人のベルクさんより直接仕入れました。
おがくず自体はホームセンターで売っておりますが、残念ながら「食用」ではありません。

相談してみたところ、機械油などが入る可能性もあるのでチェーンソーは使用しないほうがいいかというアドバイスもありまして、電動カンナでおがくずを作っったそうです。


これがそのおがくずです。シイとスギで2種作ってくれました。
枕にするくらいの量があります。たぶんこれ全部食べるとカミキリムシになれそうな気がします。
もし、これにチャレンジしてみたいという方がいましたら、生木をのこぎりなどで引いておがくずを作成することをお勧めします。


で、そのカンナで作った木くずを見た目で2割弱くらい入れたのがこれ。
非常にわかりやすく木くずが見えております。

食べてみましたが歯に木くずがはさまる。口の中に割りばしのようなにおいがいつまでも残る等々かなり最悪な感じです。
さらに大きな木くずのあたりに十分な火が入っていないようで、いつもより早くかびてしまいました。

スターリングラード的にはリアルかもしれませんがちょっとこれでは食用というにはあまりにもきついです。

同じ材料でもう少し手を入れて常食できるものが作れるのかどうか検証してみましょう。


今回はふるいにかけておがくずを粉状にしてみます。
さらに衛生面を考慮してフライパンで軽く炒ってみました。
こうしてぱっと見はふすまの粉と似たようなものになりました。

難しいのはライ麦粉とおがくずは重さの比率が違うので、グラムで2割というのはかなり難しいですな。


30グラムでこれくらい。ライ麦比率としては一割弱ですが、フライパンいっぱいなのでかなりすごい量です。
手前にあるライ麦粉と同じ量なんですよ。


これをいつもと同じように作ったパン種にドバーッとぶちまけて練り上げます。
せっかく作成したパン種が一気に台無しになる感じ。とほほ。
なんかうっかり図工室で床に落としたようなパン種になって泣けてきます。
これを食わねばならないのか.....orz

でも、不思議なもんで発酵させるとちょっとはましになってきます。


焼くと一見いつものパンと同じ形でライ麦のいい香りが漂ってきますが、切ってみるとやはりいつもとは違うものが入っています。


微妙に色の違うのがそれですね。

クッキングナチではグラム換算でライ麦380g、ウルマフォルサワー40gに対して30gのおがくずを上限として入れてみました。

パン種に入れる水の量等を調整すればこれ以上入れてもパンにはなると思いますが、いつも通り2食で一斤食べるのはこの辺でやめといたほうがいいと思います。

といいますのも、
一切れ位ならちょっときついなぁくらいですむのですが、300g程度食べようとすると途中から「胃からものすごい違和感」がやってきます。
「ちょっとー!今食べてるやつパンとか言ってるけどパンじゃないでしょ?」って体が訴えているようです。
この違和感を無理やりスープで流し込む。こりゃーつらいなー。
やわらかいおかずがあると涙が出ます。会社用弁当のおかずにオムレツを持って行ったときなどはあまりの旨さに感激してしまいました。


これは会社にもっていったスターリングラード弁当。
スープはザワークラウトのスープ。コーヒーは大麦の代用コーヒーです。
一人で黙々と食べていますので周りから見ればパンとスープを食べてコーヒーを飲んでる人にしか見えないという状態です。


例の野菜くず入りパンをイメージしておがくず以外に八宝菜を入れてみたものなんかも作ってみました。

夏コミのネタにしたかったので6月あたりはこんなものばっかり食っていました。
うん、今回ばかりは正直つらかったよ。

というわけでいろいろと作ってみたおがくずパン。

結論としては「おがくず入りライ麦パンは食べ物としてかなりぎりぎりだけど食べられないわけじゃない」ただし、全くお勧めしない。
でも、半年間実験してみて6斤くらい食べてみましたが一応直ちに身体に影響はないようです。


スターリングラード気分を味わいたい方は自己責任でよろしくお願いいたします(笑)。

※レシピに関してはコミスブロート作成方法の小麦粉の代わりにおがくずを入れてください。あとは同じで問題ありません。
 水加減は小麦より給水しやすい割には固まらない傾向があるようなので硬くなりすぎないように注意してください。
  


Posted by さめ ひろし  at 20:45Comments(6)パン作り

2014年01月13日

ライ麦パン独ソ戦!

さて、今回はコミスブロートから少しタイムスリップして(コミスブロート自体がタイムスリップでもあるんですが...)もう少し古いライ麦パンを作ってみましょう。


 これはボロジンスキーというライ麦パン。
 ロシアのライ麦パンとして有名なパンでナポレオン軍とロシア軍の交戦したボロジノ村が発祥という説とモスクワ発祥の説がありますが、1930年代にはこのパンがモスクワで作られていたのは間違いないようです。
 そう考えると第二次世界大戦中でもこういったパンが支給されている可能性があるのが興味深いところ。
 その辺のデータも調べたいところですが、今回はまずこのレシピで作成してみましょう。
 
http://fukuma.way-nifty.com/fukumas_daily_record/2013/12/post-14e8.html
今回はクッキンナチがきっかけで知り合えた福間晴耕さんのブログのレシピを参考に作ってみました。
上がホシノ天然酵母を使って4時間位醗酵させたもの。
下が生イーストを使って1時間位で醗酵させたもの。

イーストのほうが成功率は明らかに高いが、甘みとコリアンダーの絡む複雑な味わいはホシノのほうが格段に上である。
昔のロシアでは各家庭でパン種を保持していたと聞くので天然酵母のほうが味的にも妥当だろう。

このへんの美味い作り方なんかも研究していきたいところですね。
コリアンダーの香りとライ麦だから酸味があるとおもいきや、複雑な甘みのあるこの味は癖になりそうです。

http://roshianow.jp/articles/2012/11/19/39997.html
参考:ロシアNOW


 お次は第一次世界大戦のころにドイツで食べられていたKKパンというライ麦パン。
 小麦どころかライ麦も怪しくなった第一次世界大戦中に食料確保のためにドイツは様々な代用食を考案していった。
 牛乳に水を入れて水増ししてみたり、干し鱈と豚肉を混ぜて油とスパイスで肉っぽくしてみたりと様々な物が水増しされていたのである。

 そんな中で出てきたのが「Kriegsbrot(Kパン)」というパンである。KパンのKは「Kriegs(戦争)」という意味と同時に「Kartoffel(じゃがいも)」という意味も含んでいる「戦時パン」という穀物以外のものが混入されたパンが作成されていたのだ。

 当初は10%のじゃがいも粉が混入されていたKパンだったがが、物資不足がひどくなってくると20%もじゃがいも粉が混入されたKKパンというものも市場に並び始め、英国人の政治家から「ドイツ人はパンにじゃがいもを入れてまで戦っている!」とビビられたらしい。

 代用というくらいだから味はすこぶる悪く、「グレーテルは道すがらパンを落としていきました。小鳥がコレを見つけましたが食べなかったため二人はお家に無事に帰れましたとさ。本物のパンだったら小鳥に食べられていたところだったけどKパンで良かったね!」なんて冗談があるくらいだったという。

 今回はマッシュポテトの素を20%ほど混入してみました。
 捏ねているとライ麦のパン種の酸味とマッシュポテトが混ざり合ってなんか釣り堀の練り餌みたいな匂いになってしまい、先行き不安になりましたが焼くとこの釣り堀臭い匂いはなくなった。ああ、よかった。
 無事に焼きあがったKKパンだけど、味は噂のようにひどいということはない。
 食感が少し柔らかくなって崩れやすくなってるが、ライ麦パンの硬さにがっかりしてる人にとってはむしろ朗報だ。
 今回はマッシュポテトの素を使ったが、ゆでたじゃがいもを冷まして使うとじゃがいもの風味が重なってむしろいい感じのパンになるといってもいいくらいだ。


 通常の小麦粉でも作ってみたが柔らかさが増してふっかふか。食べてみるとじゃがいもの風味が全体に混じってむしろおすすめしたいくらいの美味さである。 

 第一次世界大戦の飢餓の時代は物が極限までなく、じゃがいももろくなもんじゃなかったと記録にあります。
 半ば腐ったじゃがいもを洗ってそのまま食用にしていたなんて話もありますからじゃがいも粉の酷さはそりゃひどかったんでしょう。
 鳥も食べないという当時の味は、現在の材料では再現は難しいのですが、まずいじゃがいも粉ってのもなかなか探しづらいものですねぇ。

 ちなみに、現在のKKパンのコストは2014年現在で小麦粉がキロあたり300円弱。ライ麦が750円くらいでマッシュポテトの素が700円。
 キロあたり150~200円のじゃがいもをゆでて潰した場合のみコスト減になりますが、それ以外だとまったく節約にならないのが残念なところです。
 当時の貴重品の小麦なんて今一番安い穀物だもんなぁ...とほほ(笑)。

参考:人文書院「カブラの冬」
  


Posted by さめ ひろし  at 00:57Comments(0)パン作り

2013年11月10日

醗酵とグルテンの働き

さて、それではそろそろライ麦パンっつーかコミスブロート的なやつを作っていきましょう。

まずその前に白パンとライ麦パンの違いを抑えておきましょう。

前回白パンを作ってわかったと思いますが「よくねった小麦にイースト入れて、適度な温度と湿度があるところにほっておくと膨らむ」という特徴があります。

これは、小麦粉は水でひたすら練っていくと非常に粘度のある「グルテン」という物質が出来ます。そのため小麦粉を水で練るだけであのような生地ができるわけです。

そしてこの生地にイーストを練り込んでおくと、糖分を養分として発酵することでガスを出し、それをグルテンが受け止めて膨らむのです。

余談ですが、小麦粉内にも糖分があるため実は糖分を加えなくても小麦粉は膨らみます。また、イーストと同じような働きをするものは空気中にも存在しているため小麦粉を練って放置しておいても生地が膨らむことがあります。

実はパンは紀元前6000年くらいは醗酵をさせないで単に水で練るだけで焼かれていました。

しかし、これをほったらかしにしておくと「なんだか膨らんできてふかふかしてウメェ!」ってのを紀元前3500年頃のエジプトで発見したらしく、そこからは世界中のいろいろなところで小麦粉を醗酵されて焼くというパンが出来るようになってきました。

エジプトの人すげぇ!この勢いでライ麦だってふくらませちゃうぜっていきたいところなんですが、ここには大きな問題があります。

実はライ麦ってのはこのグルテンってやつがほとんど含まれていないのでいくら練ってもあのベトベトした生地にならず、イーストがガスをだしても全てが生地の隙間から出てってしまうので膨らまないのです。

えええっ!なんてじゃぁライ麦なんて使うんだよ!小麦粉でいいやんって思う方もいると思います。

だってしょうがないんですよ。当時のドイツは気候の都合で小麦粉がとれるところがあまりなく、ライ麦しか作れないところが多かったのです。

そのためライ麦でなんとかパンを作らねばならず、ライ麦をなんとかして膨らませなければいけなかったわけです。

さて、じゃぁライ麦はどうやって膨らませたらいいのでしょうか?

それは、ライ麦をベースとして粘りのあるパン種を作成し、それを醗酵させることでライ麦パンをふくらませていくのです。


ちなみにこれがライ麦100%を何も考えずにイーストで練ったものを焼いた場合です。
よくわからん状態でライ麦焼いたらこんな物体ができたんでびっくりしました。

そんなわけでいよいよ次回はライ麦パンのパン種を作成していきます。
クッキングナチではこんな失敗しないようにしていきますので乞うご期待!
  


Posted by さめ ひろし  at 21:21Comments(0)パン作り

2013年11月08日

白パンを作ってみましょう

 さて、予告通り今回は小麦粉(強力粉)のパン(便宜上クッキングナチでは「白パン」と呼びます)を作ってみましょう。


 ライ麦と違ってグルテンの多い小麦粉は発酵さえうまくいけば非常に簡単に膨らみます。
 で、この発酵のコツさえ覚えちゃえばライ麦でも結構いい感じに膨らむようになりますのでこいつで練習してからライ麦に進むことをおすすめします。

 また、自分で焼いたパンの味はまた格別ですのでそういった点でもお勧めです。

 なお、ここではオーブンを使用してこねの工程も手で行っていますがホームベーカリーをお持ちの方はこねの工程はホームベーカリーにお任せするのもありです。

 ただし、焼きの工程はオーブンを使用してください。
 私は持っていないのですがどうもライ麦比率の高いパンはホームベーカリーで作成するのにはあまり向いていないようですので、オーブンの使い方に慣れておく上でも焼きの工程はオーブンを使用することをおすすめします。

 また、粉のレシピに関しては比率も載せておきます。
 人数や型の大きさにあわせて粉の量を調整する場合にこの比率で材料を計算してください。

 発酵やイーストの解説はまた別のコンテンツで説明しますが、まずはちょっとおいしい物を作ってみようではありませんか!

●材料
強力粉  250g(100%)
砂糖   13g (5%)
塩    5g  (2%)
ドライイースト 3g
     (1~1.5%)
ショートニング10g(4%)
スキムミルクまたは牛乳
 (スキムミルクなら4%)
 (牛乳なら水の代わりに)
バター 10g  (4%)
水  200g (80%)
卵の黄身      適量

※パーセントは強力粉を100%とした場合の比率になります。
※材料のベーカーズパーセントは小数点以下を切り上げています。

●作り方
 ボールに強力粉、砂糖、塩、ドライイーストを入れてそこに水を150gほど入れてこねていきます。
 生イーストの場合はこの水に先にイーストを入れて溶かしてから混ぜてください。
 スキムミルク及び牛乳はなくても構いません。
 乳成分や油脂(ショートニング)はパンをふっくらさせるものなので、時間が経過した時にパンが硬くなるのを防いだりします。
 牛乳を使用した場合はしっとりとしたパンが狙えます。
※こういった添加物が多い柔らか目のパンを「リッチ」、小麦粉と塩だけで作成しているようなパンを「リーン」と呼びます。今回は寄りふっくらしたパンを作るためにリッチなパンを目指します。

 ボールの中でまとめていくと粉っぽさがなくなってきますのでここで水の残りを少しづつ入れながら水分調整します。粉によって異なりますのでベトベトになりすぎる場合は多少水を残してください。


 台にこすりつけるようにこねていると徐々に粘度が増してきますのでカードでまとめながら形にしていきます。
 生地がまとまってきたらそのままこね続け、ベタベタがとれてきたら台にたたきつけて生地に強度を出し、またひたすらこねます。


 引っ張って生地がちぎれないくらい粘度が出てきたらバターとショートニングを入れてまたひたすらこねてやります。薄く伸びるくらいまでこねあげてやるのが理想です。

※どーしてもベタつきが取れずに収拾がつかなくなった場合は台に粉をまぶして少しづつ調整していきます。水分が多めのほうが発酵は成功しやすいです。

 ここから1時間程度醗酵させます。電気オーブンには「発酵モード」という機能が付いている場合が多いのでオーブンの発酵モードで30度に設定するか、濡れたふきんを2分くらいレンジで温め、ほかほかになった庫内にボールのまま生地を入れて発酵するといいでしょう。


 生地の弾力が変わって1.5倍くらいに膨らんだのを確認したら、生地をしっかり潰していきます。
※全く変化がない場合は「温度が低い」「糖分またはイーストの入れ忘れ」「水分が少ない」「こね足りない」の可能性があります。1時間しても変化がないようであればこのへんを疑ってみましょう。

 潰した生地を折りたたむように仕上げ、バター(またはラード)を塗った型にいれて再び30分程度熟成醗酵させます。
 この際、オーブンで醗酵させるとオーブンの準備ができなくなりますので、余熱時間を計算して発酵時間の少し前に記事をオーブンから出してオーブンを温めておきます。

 型の中で生地が膨らんでみっちりしてきたら準備OK。

 表面に卵の黄身を塗って200度のオーブンで15分ほど焼けば完成です。オーブンには個性がかなりありますので焦げる割に中が生っぽい場合は温度を180度くらいに下げてみましょう。表面があまり変わらないのに生っぽい場合は20分程度に時間を伸ばしてみましょう。


 ここでオーブンの癖を掴んでうまくパンが焼けるようになったらいよいよ本番のコミスブロート作ります。
 さぁうまく焼けましたか?
 まぁ、プラモの塗装なんかと一緒で始めっから大成功という訳にはいかないと思いますが、何回かやっていればコツがつかめてくると思います。

 最後になりますが、後片付けはきっちりとしましょう。
 片付け不足で家族や奥さんと揉めても当サイトは責任を取れませんので注意してください(笑)。

  


Posted by さめ ひろし  at 03:07Comments(0)パン作り

2013年10月25日

道具を揃えよう

 さて、豆知識はこれくらいにしてそろそろ実際のパン作りをはじめましょう。

 でも、クッキングナチではまず、白パン(小麦粉100%のブロート、クッキングナチでは便宜上小麦粉のパンを白パンを呼ぶことにします)を作成します。
 なぜかというと小麦粉のパンのほうが簡単なのでまずはこっちで練習をしてライ麦パンに挑もうってことになります。
 それにライ麦パンは普段食べなれていないからイマイチうまく出来たかがわかりづらい。
 醗酵のタイミングとかのコツをつかむ前にガッチガチのかたいパンを作って「いやぁライ麦パンって硬いなぁ」って勘違いしないようにまずは白パンで技術を学びましょう。

 それと、以外に重要な事ですがライ麦パンは食べる人を選びます。
 我が家では子供は手も付けず、母親も一切れくらいしか食べません(苦笑)。
 しかしっ!うまく作った白パンならみんな喜んで食べてくれます。
 家族サービスとして白いパンがやけると「何かと便利」なのでぜひこの機会に作ってみることをおすすめします。

 では、次回辺りから白パンの作成方法を載せていくとして今回は道具を紹介します。
 まずはパン作りに足りない道具がないかどうかを確かめましょう。
 すでにご家庭の台所にあるものも多いと思いますのでそんなにかからないんじゃないかなぁって思います。
※値段はアマゾン検索を基本としたおおよその値段です。また、2013年の相場になっておりますのでご注意ください。


●揃えてほしい道具
○オーブン
 これだけはどうしてもないとパンが焼けないのでなんとかして調達してほしい。
 電気でもガスでもどちらでも大丈夫。安いのは1万円ちょいからあります。

○デジタルスケール
 クッキングナチでは材料すべてをグラム管理します。
 めんどくさいと思うかもしれませんが、大さじや計量カップの微妙な調整に悩まされることもないし、余計な計量器もいらないためこちらのほうが圧倒的に楽です。
 また、料理に慣れていない人でも計量器のほうが惑わされなくていいと思います。
 さらにこの倍のものを作ろうとか、これより小さいほうがいいやって作る量を調整する時も電卓叩くだけで量の増減が出来ますから意外といいですよ。
 アナログではなく1グラム単位ではかれるデジタルスケールがお勧め!
 値段も実はデジタルスケールのほうが安いですよ!
 1000~2000円。

○パンこね台
 まな板でも大丈夫なんですが、こねる台は広いほうが圧倒的に楽です!
 木と人造大理石の2種類があります。木は微妙な水分の調整をやってくれるからいいという話もあります。
 ただし、木は手入れを怠ると痛みますので、その辺が心配な方は人造大理石かな?
 シリコンマットというパンを捏ねる薄いマットもありますが、パンの弾力でずれたりするのであまりオススメ出来ません。
1500~4000円。

○カード/スクレイパー
 ねってる最中のベトベトの生地をかき集めるのに必要なのがこれ。お好み焼き用のヘラのようなものでも代用出来ますが、安価なのでパンこね台を購入する時にセットで購入するといいでしょう。
300~1000円。

○パン型
 通常のパン型でもパウンドケーキの型でもどちらでもOK。ただ、あまり大きいものを購入してしまうと大きいパンが出来てしまうので食べるのが大変だぞ(笑)。
 本書ではちょっと大きめのパウンドケーキの型を使用しています。
 500円~2000円。

○電卓
 グラム管理なので粉の比率を割り出すのに手元に電卓があると結構重宝します。

○その他あったらいいもの
 粉を混ぜるボウル、シリコンヘラがあるとなにかと便利です。

さて、みなさんのうちには道具はありますでしょうか?
オーブンレンジなんて意外と「電子レンジ以外は使ってない」なんてことはありませんか?

これを機会にオーブンを使って遊んでみましょう。


  


Posted by さめ ひろし  at 02:00Comments(3)パン作り