2014年01月13日

ライ麦パン独ソ戦!

さて、今回はコミスブロートから少しタイムスリップして(コミスブロート自体がタイムスリップでもあるんですが...)もう少し古いライ麦パンを作ってみましょう。


 これはボロジンスキーというライ麦パン。
 ロシアのライ麦パンとして有名なパンでナポレオン軍とロシア軍の交戦したボロジノ村が発祥という説とモスクワ発祥の説がありますが、1930年代にはこのパンがモスクワで作られていたのは間違いないようです。
 そう考えると第二次世界大戦中でもこういったパンが支給されている可能性があるのが興味深いところ。
 その辺のデータも調べたいところですが、今回はまずこのレシピで作成してみましょう。
 
http://fukuma.way-nifty.com/fukumas_daily_record/2013/12/post-14e8.html
今回はクッキンナチがきっかけで知り合えた福間晴耕さんのブログのレシピを参考に作ってみました。
上がホシノ天然酵母を使って4時間位醗酵させたもの。
下が生イーストを使って1時間位で醗酵させたもの。

イーストのほうが成功率は明らかに高いが、甘みとコリアンダーの絡む複雑な味わいはホシノのほうが格段に上である。
昔のロシアでは各家庭でパン種を保持していたと聞くので天然酵母のほうが味的にも妥当だろう。

このへんの美味い作り方なんかも研究していきたいところですね。
コリアンダーの香りとライ麦だから酸味があるとおもいきや、複雑な甘みのあるこの味は癖になりそうです。

http://roshianow.jp/articles/2012/11/19/39997.html
参考:ロシアNOW


 お次は第一次世界大戦のころにドイツで食べられていたKKパンというライ麦パン。
 小麦どころかライ麦も怪しくなった第一次世界大戦中に食料確保のためにドイツは様々な代用食を考案していった。
 牛乳に水を入れて水増ししてみたり、干し鱈と豚肉を混ぜて油とスパイスで肉っぽくしてみたりと様々な物が水増しされていたのである。

 そんな中で出てきたのが「Kriegsbrot(Kパン)」というパンである。KパンのKは「Kriegs(戦争)」という意味と同時に「Kartoffel(じゃがいも)」という意味も含んでいる「戦時パン」という穀物以外のものが混入されたパンが作成されていたのだ。

 当初は10%のじゃがいも粉が混入されていたKパンだったがが、物資不足がひどくなってくると20%もじゃがいも粉が混入されたKKパンというものも市場に並び始め、英国人の政治家から「ドイツ人はパンにじゃがいもを入れてまで戦っている!」とビビられたらしい。

 代用というくらいだから味はすこぶる悪く、「グレーテルは道すがらパンを落としていきました。小鳥がコレを見つけましたが食べなかったため二人はお家に無事に帰れましたとさ。本物のパンだったら小鳥に食べられていたところだったけどKパンで良かったね!」なんて冗談があるくらいだったという。

 今回はマッシュポテトの素を20%ほど混入してみました。
 捏ねているとライ麦のパン種の酸味とマッシュポテトが混ざり合ってなんか釣り堀の練り餌みたいな匂いになってしまい、先行き不安になりましたが焼くとこの釣り堀臭い匂いはなくなった。ああ、よかった。
 無事に焼きあがったKKパンだけど、味は噂のようにひどいということはない。
 食感が少し柔らかくなって崩れやすくなってるが、ライ麦パンの硬さにがっかりしてる人にとってはむしろ朗報だ。
 今回はマッシュポテトの素を使ったが、ゆでたじゃがいもを冷まして使うとじゃがいもの風味が重なってむしろいい感じのパンになるといってもいいくらいだ。


 通常の小麦粉でも作ってみたが柔らかさが増してふっかふか。食べてみるとじゃがいもの風味が全体に混じってむしろおすすめしたいくらいの美味さである。 

 第一次世界大戦の飢餓の時代は物が極限までなく、じゃがいももろくなもんじゃなかったと記録にあります。
 半ば腐ったじゃがいもを洗ってそのまま食用にしていたなんて話もありますからじゃがいも粉の酷さはそりゃひどかったんでしょう。
 鳥も食べないという当時の味は、現在の材料では再現は難しいのですが、まずいじゃがいも粉ってのもなかなか探しづらいものですねぇ。

 ちなみに、現在のKKパンのコストは2014年現在で小麦粉がキロあたり300円弱。ライ麦が750円くらいでマッシュポテトの素が700円。
 キロあたり150~200円のじゃがいもをゆでて潰した場合のみコスト減になりますが、それ以外だとまったく節約にならないのが残念なところです。
 当時の貴重品の小麦なんて今一番安い穀物だもんなぁ...とほほ(笑)。

参考:人文書院「カブラの冬」
  


Posted by さめ ひろし  at 00:57Comments(0)パン作り

2014年01月05日

現在のコミスブロート

http://10.studio-web.net/~phototec/ 「THE戦闘糧食」さんのサイトの

http://10.studio-web.net/~phototec/dizbred4.htm
ドイツ軍試食レポートを見ていて現在でも缶詰でコミスブロートが配給されているのを発見しました!

配給量は一日用のレーションで500g。第二次世界大戦時よりも少なくなっているようですが、缶詰とはいえ今でもコミスブロートが支給されていますっていってもいいみたいですね。

で、よく見ると缶に「Roggenschrotbrot」って表記されています。
以前にライ麦の配合率
http://kommissbrot.militaryblog.jp/e484338.html
でも紹介しましたが、ドイツではライ麦の配合比率で名称が決まっています。

実はコレにはもう少し細かい内容が決まっており、名称によっては配合比率以外にも挽き方の内容、焼き加減なんかもわかるようになってるんですね。

詳細はこの辻調グループの総合サイトに有ります
http://www.tsujicho.com/column/cat659/post-193.html
が非常に参考になります(いやもうこのコンテンツ永久保存っすよw)。

で、今回のドイツ軍のレーションには「ロッゲンシュロートブロート」って表記されていますから、現在のドイツ軍は「90%以上の『粗挽きライ麦』を使用したライ麦パン」が配給されているということがわかります。

ライ麦90%って結構ハードル高いかもしれませんが、現用ドイツ好きの方は是非ロッゲンシュロートブロートにチャレンジしてみましょう。

  


Posted by さめ ひろし  at 00:30Comments(0)コミスブロート